ラブリー糸電話
紙コップに繋いだ綿糸。
こちらは僕、向こうにはあなた。
耳に当てる紙コップ。
ぶわっと反響する声。
耳から少し離しながら、
一生懸命に紡ぐ言葉を聴く。
「とと、と同じくらい大きくなったら、ととの部屋で一緒に何か作る」
革小物作家なんて名乗ってるものだから、猫の額みたいなアトリエには革に関する以外にも、天井から吊されたドライフラワーやキラキラ光るビーズ、ハート型に抜ける工具、
ギッシリ詰まってる。
よく部屋に入りたがっては、一緒に工具を持っては革に触れてる。
だから、いつか、何か物作りに興味を持ってくれたらなぁとは思ってた。
それが、近いうちに現実になりそうな気がして、凄く嬉しかった。
嬉しかった、というより、なんだろう、
深く響いたような感じ。難しい。
急に糸電話作ってみたい!!って言われて
しゃーないって思いながら作ってよかった。
あなたはその糸電話の事なんて明後日くらいには忘れてるだろうけど、ととはずっと覚えてるだろう。